お口の話⑥ ~口の病気 その3:口腔癌~

お口の中にできる病気は、むし歯や歯周病以外にもたくさんあります。

その中でも比較的多くみられるものや重要な病気について、シリーズでお伝えしています。第3回目は口腔癌です。

 

口の中にも癌が発生することはご存知でしょうか。

口腔癌は、全ての悪性腫瘍の中では比較的まれな腫瘍で1~2%程度です。しかし、WHO死亡統計データベースによれば、日本における口腔癌の死亡者数は1960年代までは欧米諸国に比較して低かったにもかかわらず、徐々に増加傾向を示し、現在では30年前と比較して3倍以上に増加しています(下図)。その原因としては、高齢化が第1の要因と考えられますが、口腔癌に対する認知度が低く、臨床的に進行した状態で専門医を受診するケースが多いこと、また、医療側では、遭遇する頻度が低いため判断が遅れるケースがみられること、などがあげられます。

口腔癌で最も頻度の高いものは舌癌で、舌縁部(舌の横っ腹の部分)に発生し、早期の段階では、口内炎や咬んでできた傷と区別がつきにくく、経過をみていくうちに進行癌になってしまうことがあります。また、歯肉にもできることがあり、歯周病と診断されるケースもあります。

このように、口の中は“みえる臓器”であるにもかかわらず、とくに早期癌では診断が簡単ではないのが現状です。進行してからでは、治療によるダメージも大きく、生存率も低下します。

そのようなことにならないためにも、少しでもお口の中で気になるところがあるようでしたら、一度歯科医院に行かれてみてはいかがでしょうか。

当クリニックでは、口腔内の診査にくわえて、何か病変があった場合には細胞診を行なっています。専用ブラシで擦って細胞をみる検査で、痛みもほとんどなく短時間でできる検査です。

詳しい内容についてはご説明しますので、お気軽に当クリニック歯科(5F受付)にご相談ください。

関連記事