お口の話 ~その②歯から健康寿命を伸ばそう~

 日本は世界でも類をみない超高齢社会といわれています。

 では、超高齢社会っていったい何でしょう?

  高齢化は、①高齢化社会、②高齢社会、③超高齢社会の3段階で定義されています。①は65歳以上が人口の7%から、②は14%、③は21%で、日本はすでに2007年から超高齢社会に突入しています。日本の高齢化のスピードは止まることを知らず、2035年には高齢化率は33.4%になると試算されています。

  日本は世界的な長寿大国といえますが、そこで見落とされがちなのが健康寿命と平均寿命とのズレです。近年健康寿命という言葉がよく使われるようになってきましたが、この定義は「健康上の問題で日常生活を制限されることなく生活できる期間」とされています。厚労省の発表によると、平均寿命と健康寿命の差は、平成22年で、男性9.13年、女性12.68となっており、大きな差があります(図)。高齢化が進み、平均寿命が伸びる一方でこの健康寿命も考えなくてはいけません。

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 ここまで、高齢化や健康寿命について書いてきました。なぜこのようなことを書いてきたかと言いますと、健康寿命を伸ばす上で歯科がとても大切な部分を占めているからです。

 健康寿命を伸ばすには脳卒中(脳梗塞・脳出血)、心筋梗塞、認知症、転倒による骨折など、長期的に介護が必要になる状態をいかに避けるかが決め手になります。

 歯のあるお年寄りの方は歯のない方に比べて健康な方が多く、近年とくに歯の重要性が注目されています。

 口から食べ物を摂取し、味わいながらよくかんで食べることは、生活の質(QOL:クオリティーオブライフ)を高めますし、食事の準備や片付けなどをすることにより、活動性(アクティビティー)を保つことができます。また、よくかむことが、肥満の防止や脳の活性化、運動機能の向上、免疫力の向上、糖尿病の予防など、体の健康を維持する効果があります。

 すなわち、要介護の原因となるような、脳神経系のトラブル(脳卒中、認知症)や運動系のトラブル(骨折など)を回避する力が口腔ケアにあるのです。

 多くの人は、何も症状がない時に歯科を受診する習慣がありません。何かトラブルが起こってから行くという方が大部分です。しかし、トラブルが起こってからでは歯を守ることが難しい場合があり、いったん1本目の歯を失うと、その後まわりの歯がどんどん失われていくことになり、かむ能力が低下していきます。

  口腔ケアは、もちろんご自身で毎日丁寧に歯みがきを行うことが重要です(セルフケア)。しかし、それだけでは不十分な場合が多く、セルフケアに加えて、歯科医師や歯科衛生士による定期的な清掃や、個々の歯の状態に合わせた歯みがき指導(プロケア)を行うことによって、お口の中の健康状態が改善・維持されます。入れ歯を入れている方でも、日常のお手入れや歯科医院での定期的なかみ合わせ、残っている歯のチェックは重要です。

  また、むし歯や歯周病などの口の病気は、初期の段階では案外わかりにくいものです。たいした症状はなくても、定期的に歯科を受診されていない方は、一度歯科医院に行かれてみてはいかがでしょうか。

  少しでもお口の中で気になるところがあるようでしたら、どのようなことでもかまいませんので、お気軽に当クリニック歯科(5F受付)にご相談ください。

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