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理学療法士による膝痛の話 太っているから痛いのか?痛いから太るのか?
- 2017年04月05日
- ブログ
膝痛の無限スパイラル
少し前にあったCMをご存知でしょうか?
笑福亭鶴瓶さんが彫刻「考える人」の格好をして悩んでいます。
「人は太ったせいで膝が痛くなるのか、それとも膝が痛くなるから太るのか・・・」
そこへ通りすがりのお兄さんが一言。
「どっちも!!」
深いCMです。
私もその通りだと思います。
体重の増加はその分おもりを背負っているのと同じです。
例えば10㌔のお米を想像してみて下さい。それをリュックサックに入れて、常に背負って生活するのです。
膝だけでなく、色々な箇所が悲鳴を上げるのは想像に難くないでしょう。
やはり体重増加は膝の痛みの大きな原因です。
これが、筋肉量の増加を伴っていれば何の問題もありません。
しかし、急激な体重増加であればどうでしょう?
体はそれに耐えられる準備が出来ていないのです。
じゃあ体重を減らせば良いのでしょうか?
無理な食事制限だけをして体重を減少させた場合、脂肪だけではなく筋肉も確実に減少してしまいます。
自分の体重に対して、それを支えられる筋肉量がなければ、せっかく頑張ったダイエットも無駄になってしまうだけです。
それなら運動?
よくテレビなんかで太ももの筋肉鍛えなさいって言ってるし・・・
じゃあスクワットする?ガンガン歩く?
「だから、膝が痛いの!それが出来れば苦労してないって!!」
ってなりますよね。
そもそも、何年もこの仕事やっていますが、歩くのが辛い位膝が痛くなった人が、筋トレだけで痛みから解放されたなどという事例を私は見たことがありません。
「じゃあ一体どうすればいいんだ!!」
・・・当然そうなりますよね。
その答えは「まずは今ある痛みを緩和させる」ということです。
膝の痛みの代表とされるのが「変形性膝関節症」です。
立ち上がった時や、歩き始めなど「動き始め」に痛みを感じるというのが初期症状として多いようです。
大きな原因として、加齢や体重増加などによる膝の関節の軟骨の減少があります。
しかし、軟骨には神経がありません。
軟骨が擦り減ったとしてもそこに痛みは発生しません。
じゃあ何故痛いのか?
膝の痛みといっても必ずしも関節自体の痛みとは限らないのです。
「軟骨が擦り減っている」とか「膝の関節が変形している」と言われたことがある人でも、今ある痛みはそれを支える筋肉の痛みであることが多いです。
また、膝関節以外の筋肉が硬くなっていることで、膝に痛みが出ている可能性も非常に高いです。
私たち理学療法士は、患者さんの姿勢や動作を見て、どこに問題があるのかを推測します。
そして、実際に筋肉を触って状態を評価し、痛みを緩和する治療をします。
実際それだけで痛みが噓のようになくなって、楽に歩けるようになったり、膝を曲げられるようになる方も大勢いらっしゃいます。
また、ドクターによる薬物療法や関節への注射を併用する方法もあります。
このようにして痛みを緩和し「体重増加のせいか、痛みのせいか」の「負のスパイラル」を断ち切ることが治療の第一歩となります。この「負のスパイラル」に巻き込まれ、治療が遅れると、関節自体の変形が進みます。
関節の変形が進行すると、膝が骨の変形により物理的に曲がらなくなったり、炎症によりじっとしていても痛みが出たり、終には手術を勧められるといった事態になってしまいます。
また、膝の痛みについては、先に述べた「変形性膝関節症」以外にも色々原因があります。
やせている人だって、筋力のある人にだって膝痛はおこります。
なので、決して自己判断せずに専門家へ相談して下さい。
「負のスパイラル」に陥る前に、是非受診をお勧めします。